男性機能障害
性腺機能低下症の症状は、二次性徴がおこらない、または二次性徴が始まっても途中で停止または退行してしまうことです。従って、確定診断にはある程度の年齢に達する必要があります。厚生労働省の診断の手引きでは、男子で15歳になっても二次性徴が見られないものとされています。小児期より小陰茎、停留精巣、尿道下裂、無嗅症(Kallmann症候群)などの症状がみられることもあります。 性腺機能低下症と鑑別が必要な疾患に、思春期遅発症や思春期遅発をおこす病態があります。思春期遅発をきたす病態には、心疾患・血液腫瘍疾患、腎疾患などの慢性疾患、体操やマラソンの選手のように過度のエネルギー消費、過度の肥満、甲状腺機能低下症・成長ホルモン分泌不全生低身長症などの内分泌疾患、栄養失調、神経性食思不振症、愛情遮断症候群、麻薬中毒者などがあります。 性腺機能低下症には性腺自体に原因がある原発性性腺機能低下症とゴナドトロピン分泌不全による中枢性性腺機能低下症に分けられます。中枢性性腺機能低下症は、低ゴナドトロピン性性腺機能低下症(hypogonadotropic hypogonadism)とも呼ばれます。原発性性腺機能低下症の主な原因疾患を表1に示しましたが、染色体疾患、遺伝疾患、精巣の形成不全または退縮などがあげられます。中枢性性腺機能低下症の主な原因疾患を表2に示しました。DAX1異常症、Kallmann症候群や成長ホルモン分泌不全症に伴う多発下垂体ホルモン分泌不全症、間脳・下垂体腫瘍などによる下垂体機能低下症などがあげられます。 原発性性腺機能低下症、中枢性性腺機能低下症および思春期遅発症の主な鑑別点は、成長とゴナドトロピンの分泌状態です。一般的に性ホルモンの分泌不全では低身長になりませんが、他の下垂体ホルモン、特に成長ホルモンの分泌不全を伴うと成長障害が認められ、また思春期遅発症は低身長の傾向が有ります。表3に主な疾患の鑑別を示しました。原発性性腺機能低下症の診断は思春期年齢におけるゴナドトロピンの高分泌を示しますので、比較的診断は容易で、高ゴナドトロピン性性腺機能低下症(hypergonadotropic hypogonadism)とも呼ばれます。 中枢性性腺機能低下症および思春期遅発症の鑑別は、思春期年齢をすぎて遅発症において二次性徴が成熟すれば診断がつくが、その前には困難なことも多い。しかし前思春期においても、LHRHテストとhCGテストによりある程度の鑑別が可能です。中枢性性腺機能低下症においては、LHRHテストにおけるLHと FSHの頂値は正常範囲を下回ることが多く、またhCGテスト(hCG3日間投与)における血中テストステロンの反応は50ng/ml以下です(1)。検査によって中枢性性腺機能低下症が診断された場合には、MRIなどによって頭蓋内の器質的疾患の有無を検索することが必要です。DAX1異常症や Kallmann症候群においては遺伝子診断が有用です。